2012/03/11

モコちゃんと私(2)

ショレショレのボロぞうきんみたいになっているモコちゃんは黙って抱えられ、そのままお風呂場へ直行しました。風邪をひかないようにと母が手早く洗うかたわら、私はタオルをたくさん準備しました。

タオルで包まれたモコちゃんはストーブの前で身体を拭かれました。ちいさくて、あばら骨がよくわかりました。

フカフカの毛皮に戻ったモコちゃんは、それでも小さくなっていました。「やっぱり、年をとったんだね~」と母親と話しました。毛皮に艶はなくなって、量も減って、ふたまわりくらい小さくなった感じでした。


モコちゃんは若い時、それはそれは美しいチンチラ三毛猫でした。長毛種特有のふわふわした長い毛皮で、本当のからだの大きさより何倍も大きく見えました。オス猫相手でも喧嘩をして、ほかの猫をよせつけませんでした。

モコちゃんは野良猫のお母さんから生まれました。弟がいました。お母さんはモコちゃんが小さい頃、交通事故で死んでしまいました。弟とはしばらく仲良くしていたのですが、その弟も、残念ながら交通事故にあってしまいました。モコちゃんは天蓋孤独でした。だからこそ、強気に生きてきたのだと思います。

モコちゃんは、家の中で過ごすようになって以来、よく私の後をひっつきまいつきしていました。トイレに立とうとしたときでさえ、「ミャーー(どこへ行くの?)」と抱っこをせがみ、「トイレだから、すぐ戻るから。」と言っても離れません。ついには抱っこしたままトイレに行くこともありました。あのころのモコちゃんは人間との生活や新しい家になじむという時期で、とても不安だったのだろうと思います。

そうこうするうちに、家族にも黙って抱っこされるようになりました。それでも、私が座っているとダイニングテーブルでも、ソファでも、畳の上でも、ひざの上に乗ろうとすぐにやってきました。人間に心を許すまでにはなかなか時間がかかるようでした。

人間もそうですが、本当は誰かと一緒に過ごしたい、と思ってもなかなか勇気がなくて言い出せなかったり、恥ずかしくて表現できなかったりします。それに、相手を心から信用できなければ、わざわざ傷つきたくないから、あえて一人でいることを選んでしまうことだってあるでしょう。モコちゃんはまさにそうだったと思います。そんな時に、私が「一人で頑張らなくてもいいんだよ。」と声をかけたのでしょう。


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本日のメッセージ

【自己紹介】 中村久美恵 BBSH2011年卒業BHSプラクティショナー💖動物が大好きなエネルギーヒーラーです💛犬2匹猫30匹をお看取りした経験から、ペットロスのヒーリングサポートをしています。こんにちは、中村久美恵です^^ 今日もあなたが目覚めるメッセージ♡お届けします。 ...