2014/11/26

許し




なぜ、私はこんなに悲しいのか。
マロンがいないからだ。

彼がいれば、幸せなのか?
・・・。

私の幸せは彼に左右されているのか?
・・・。

私の幸せは、外部の何かに左右されるのか?
・・・。

ふと、この質問が頭によぎったその瞬間、私のハートが重くなり、長い長い間置き去りにしてきた何かを取り戻した。それは強さ、権威、パワー、私自身だった。

私は彼を許していなかった。
自分が悲しむことで、彼を許していなかった。
私がこんなに悲しいのは、マロンがいないからだ、なぜいないのだ、と逝ってしまった彼を許していなかったのだ。

何ということ!
何ということ!

では、悲しみはエゴなのか?

あの時、逝くことを選んだのは彼なのか、それとも大いなる存在なのか?

これは聖なる計画の一部なのか、それとも私が撒いた種を刈り取ったのか?

残酷な宇宙の仕打ちと思っていた出来事は、いったい、何なのか?

思考が現実を創るなら、私はなぜ、こんなことを望んでしまったのか?

癒やしが手放すことなら、私はなぜ、いらないフロアランプではなく、よりによって愛するマロンを手放してしまったのか?

神が我々を創ったなら、我々も神であると言った人がいる。もしそうだとしたら、私からマロンを奪った神を許せない。
そして、神である私のことも許せない。

許しとは、踏みにじられたすみれの花が、自分を踏みにじった靴のかかとに放つ芳香である、とマーク・トウェインは言った。

私は、すみれの花になれるだろうか。
それとも、もう、すみれの花なのだろうか。






2014/11/25

最期の時




最期の夜が思い出された。

ふと、思った。
私は、よく頑張った。よく頑張ったのだ。
私はたった一人で彼を看取った。絶対独りでは行かせない、となぜか理由はわからないが、以前から固く誓っていた。


彼からひとときも離れたくなくて、実家に電話さえしなかった。トイレにさえ行くことを忘れた。夜中の午前二時十五分に看取って、お葬式が終わって帰宅するまで、一睡もしなかった。というより、眠れなかった。文字通り、私は彼につききりで看取ったのだ。

よくがんばった、私。よくやり遂げた。
そして、泣きながら自分をハグした。両手を肩に巻きつけて、泣いた。
本当によく頑張った。よくやった。
たった一人で、心細かったね。
わからないながら、よくやったね。

動けなくなってしまってから、腕枕をしてあげられた。
一人で抱えて、柔らかい布団の上に運んであげた。マロンはもう、力が入らなくて、いつもよりずっと、重く感じたね。
胃腸炎で、痛かっただろうお腹をさすってあげた。お腹や胃の痛そうなところに手を当ててもあげた。
その間、ずっと心細かった。本当は誰かに一緒にいてほしかった。
でも、耐えた。たった一人で。
私、よくがんばったね。
怖かったね。よくがんばった。

そして、泣いた。
後から後から、涙があふれてきた。
私は自分に厳しすぎたのだろうか。

あんなことも、こんなことも一緒にしたかった。
あそこに行って、こんなことをして、もっともっと思い出を増やしたかった。
もっと食べ物に気を使ってあげていたら、もっと早くアレルギー検査ができる遠くの動物病院に連れて行っていたら、もっと、もっと・・・。

こんな時、後悔だけが頭を覆いつくす。マザー・テレサは、どれだけ沢山のことが出来るかではなく、小さなことを、心を込めてやりなさいと言っている。どれだけ沢山できたかではない。
それなのに、もっと行動できたはずなのに、もっと調べたらよかったのに、もっと、もっと・・・。エゴがどこまでも私を責める。
そうせずにはいられなかった。




2014/11/13

ラジオ



マロンがいなくなってから、家は恐ろしく広くなった。
信じられないほど広くなって、どこで何をしていいかまったくわからなくなった。
実際には同じ家なのに。

彼のエネルギーがいかに大きかったか、いかに私の中で大きな位置を占めていたかに改めて気付かされ、愕然とした。どの部屋にも、彼の美しいエネルギーが満ちていた。なのに、実物はいない。どこを探してもいない。


部屋の空虚感をなくしたいと、ラジオをつけ始めた。音が何かを満たしてくれるかもしれないと思った。


外出したものの、急に怒りに襲われ、帰宅することが何度も続いた。玄関に入るなり、泣いた。
スーパーに行けば肉売場に近づけなかった。彼のためにいつも何がいいかな、と彼と一緒に食べられる献立を考えながら選んでいたからだった。魚売り場も、野菜売り場も同じだった。

動揺して帰宅して、腹が立って、そして号泣した。なぜ彼が逝かなければならなかったのかわからなかった。なぜ、という理由はまだわからなかった。そして、理由がわからない不明瞭さ、不安を、はっきりさせて安心したい自分の中の自分は、猛烈に腹を立てていた。

ああ、どんなに泣いてもマロンは帰らない。そのとき、朝からずっとつけているラジオから、「いつもあなたのそばにいるよ」という英語の歌が流れてきた。
ふっと一瞬、怒りを忘れた。


猫が私の羽布団に粗相をしたある朝には、「残念だね」という英語の歌が流れてきた。せつなくも、ちょっとユーモアがあって助けられた。

朝ごはんのときに猫が膝に乗ってくることが恒例となったので、去年も使っていたひざ掛けを出してきた。ラジオからは何かの歌が流れていた。マロンを思い出して、何気なくひざ掛けを見ると、彼の白い毛が一本、そこにあった。まだ一緒にいるよ、と教えてくれているようだった。








本日のメッセージ

【自己紹介】 中村久美恵 BBSH2011年卒業BHSプラクティショナー💖動物が大好きなエネルギーヒーラーです💛犬2匹猫30匹をお看取りした経験から、ペットロスのヒーリングサポートをしています。こんにちは、中村久美恵です^^ 今日もあなたが目覚めるメッセージ♡お届けします。 ...