2012/04/13

立ち上がる

はじかれても、負けない。
はじかれても、あきらめない。
はじかれても、自分の信じる場所にとどまる。

そんなこと、考えたこと、ありますか?

世の中にははじく人とはじかれる人がいます。
はじく人は、何をしたいんだろう?
どうして、何のために、そうするんだろう?

いじめたり、口をきかなくなったり、聞こえるように悪口を言ってみたり。
大人の世界であることは、子どもの世界にも広がります。

こんな話があります。

あるとき、神様がいいました。
「困ったのう~。こんなはずではなかったのだが。。。」
そこに神様の弟子がやってきました。
「どうしたんですか、神様?」
「実は、この世を創るときに愛と平和が広がるようにと作ったのだが、どうやら、争いが始まってしまった。」
「なぜなんでしょう?」
「う~ん、何者かが、嫉妬の壺を開けてしまったらしい。」
「あの、光の洞窟の一番奥に隠しておいた壺ですか?」
「そうなんじゃよ。困ったのう。」
「では、私が行ってみてまいります!」
「うむ、頼んだぞ。」

そうして弟子はこの世にやってきました。
光の洞窟の一番奥へやってくると、やはり、壺のふたが開けられていました。
「誰が、どうして、こんなことをしたんだろう?」
そこへ一人の男がやってきました。
「あ!お前が壺を開けたんだな?」
「いや、違う。私は神様の弟子だ。誰が壺のふたを開けたのか、調べに来たんだ。」
「そうか、お前ではないのか。まったく、困ったことになったものだ。」
「いったい、誰がこんなことをしたのだろう?」
「さあな。でも、平和だった村が変わってしまった。人々は争うようになって、だましあいをしたり、弱い者をいじめるようになってしまった。どうしたものだろう。」
そこへ、一人の若者がやってきました。
「村長、またみんなが言い争いをしています。どうしましょう?」
「なんだって?ああ、困ったものだ。どうしたものか。」
「私が行ってみましょう。」
神様の弟子は2人と一緒に村へと向かいました。

「いったい、なぜみんな争うようになったのですか?」と弟子がみんなに問いかけました。
みんな、そっぽを向いて、何も言いません。
「なぜ、みんな話してくれないのですか?」
みんな、弟子のことをわざと無視します。
「私は神様のお使いで来たのです。みんなが争っているのを見て、神様は心を痛めておられます。」
「なんだよ、」誰かが言いました。「そんなこと知らないよ。」
「そうだ、そうだ!神様が何だ!」みんなが口々に言いはじめました。
神様の弟子はとても悔しかったのですが、あきらめません。

「みんな、誰が光の洞窟にある嫉妬の壺を開けたのですか?」
「知らないよ。探しても無駄だよ。」
「そうだよ、誰も知らないよ。」
神様の弟子はそれでもあきらめません。
「みんな、私はみんなを懲らしめるために来たわけじゃないんだ。誰が、どうして、何のために壺を開けたのか、それを知りたいんだ。」
これを聞いて、みんな黙りこくってしまいました。
神様の弟子は思いました。「みんな、誰がふたを開けたのか、知っているに違いない。でも、みんなわざと黙っているのだな?」
神様の弟子は言いました。「誰かをいじめたり、おとしいれたり、だましたりするために来たわけじゃないんだ。なぜ壺のふたを開けたのか、それを知りたいんだ。」

後ろのほうから、とても貧しそうな女の子が出てきました。
「君がやったのかい?」
「ええ。」
「なぜ、こんなことをしたの?嫉妬の壺は、決して開けてはいけないよ、と神様から言われていただろう?」
「ええ。でも、神様を困らせたかったの。」
「なぜ、神様を困らせたかったんだい?」
「だって、神様は・・・」女の子は真剣なまなざしで弟子を見ました。「神様は、わたしのお母さんを連れて行ってしまったから。」
洞窟にやってきた若者が弟子に言いました。「この子のお母さんは3日前に、病気をわずらって死んでしまいました。この子には、誰も家族がいないんです。」
「そうだったのか・・・。」弟子はため息をつきました。もう、後戻りはできません。いったん、壺のふたが開けられてしまったなら、元に戻すことはできないのです。

神様の弟子は村長に向かっていいました。
「村長、私は帰って神様にこの女の子のことを伝えます。壺のふたをもとに戻すことはできないけれど、昔はこうだったんだよ、とみんなに伝えていくことはできます。これからは、いじめやだましがあるでしょう。けれど、仲良くすること、正直でいることだってできる、ということをみんなに伝えていきましょう。そして、平和に暮らしていけるようにみんなでつながりましょう。」
「ああ、そうだなあ。そうだなあ。」村長は目に涙を浮かべていました。
「あの子のことは家族のように面倒をみていくよ。どうもありがとう。」

弟子は神様の元へ帰りました。
「神様、戻りました。」
「ああ、ご苦労じゃったな。」神様はにこにこしていました。
「神様、ぜんぶご存じだったのですね。」
「お前があきらめるかと思ったがのう、ははは。」
「なぜ、あの子は独りぽっちになったのですか?」
「それはのう、」神様が言いました。「あの子のおかげで、みんながまた、仲良くなるからじゃよ。それにのう、」神様は続けました。「あの子には、自分のために立ち上がる強さがあるんじゃ。今は種じゃがの。」
「そうでしたか。」神様の弟子はよかった、という安堵の表情を浮かべました。
「わしが造った世界じゃからのう、愛と平和が広がるようになっとるんじゃよ。。。」

女の子は美しく、芯の強い女性に成長しました。弱い者たちには優しく、いじわるをしたり、だましたりしようとする者たちには、厳しくそれをたしなめる賢い女性になりました。やがて、女性を慕う人々が大勢集まるようになって、そこには素晴らしい村が出来たそうです。

私たちは自分の中に「何かのために立ち上がる強さ」を秘めています。それは、思いもよらない出来事に遭遇して初めて浮上するものかもしれません。または、人生の大きな出来事がきっかけになるかもしれません。

いずれにせよ、誰の中にも、「ころんだら、石をつかんで起き上がる」強さがあることには違いありません。

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【自己紹介】 中村久美恵 BBSH2011年卒業BHSプラクティショナー💖動物が大好きなエネルギーヒーラーです💛犬2匹猫30匹をお看取りした経験から、ペットロスのヒーリングサポートをしています。こんにちは、中村久美恵です^^ 今日もあなたが目覚めるメッセージ♡お届けします。 ...